古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2024年1月31日 耳鳴りの中で書く戦記物

百三十三枚半。元弘八月二十五日から二十九日までの大和へ行幸した後醍醐天皇が笠置山に行宮をおいて、一方比叡山に登った大塔宮と妙法院が六波羅との戦いに敗れて大塔宮が吉野へ、妙法院が笠置山へ行啓するまでのうごきとその理由としての状況判断が複雑で…

2024年1月29日 中庸という凡庸。

百三十二枚。晴天。たぶん、今日で三章の三分の二にあたる大塔宮、妙法院両法親王が叡山を落ちるところまでを書き終え。あと三分の一で後醍醐天皇の隠岐配流の前まで書く。えんやこらえんやこらという感じ。ペースをこのまま安定させたいが、あえてこだわら…

2024年1月27日 手の平を見ると甲が見えない。

百三十枚。後醍醐天皇が笠置山で旗揚げし、比叡山で六波羅の軍勢と山門勢が戦っているころ、京では持明院統の後伏見上皇の嫡子の量仁皇子のと登祚をはかって後伏見上皇と花園上皇が賀茂社へ願文を上ったり各方面への根回しに忙しい。書くほうも舞台があちこ…

2024年1月25日 虫のよい仙人。

百二十八枚。搦手の近江からの幕府軍の攻撃を撃退したあと、西塔釈迦堂に入っている今上がじつは尹大納言であったことがばれて山門衆徒の心が離れ、そのために大手の西坂下の防備が破綻する。今日は簾が風に捲れて尹大納言の顔が山門の僧に見られるところま…

2024年1月23日 人間の生存における社会性という実存的本質。

百二十六枚。ペースが上がりすぎているので、少し抑え気味にするよう心掛ける。このペースで書き続けると体力が持たない。何と言っても最後は体力。この道よりないのだから。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅…

2024年1月21日 何人かは知らねわれも知らねば

百二十四枚。唐崎の合戦の海東左近将監の討ち死にまで書き終える。三章のちょうど半分。少し馬力がかかってきた気がする。朝起きるとやる気満々で、ブログを打つ時間を惜しんで後回しにした。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.…

2024年1月19日 長柄刀振る法師や湖西の波の音

百二十二枚。唐崎の合戦を書き始める。地名事典付録の地図では辛崎になっている。湖西へ兵をすすめてきた幕府軍へ大津の円宗院の僧たちが攻めかかって緒戦がひらかれ、双方の後詰めの兵が進退して挑みかかる。四、五枚で書く予定。合戦を書くのは二十年ぶり…

2024年1月16日 子のごとくただはしゃぎたき淋しさ

百二十枚。南北朝の合戦の幕開けは比叡山の東西の登り口で起こる。これからは合戦に次ぐ合戦で、その合間に持明院統の公家と大覚寺統の公家たちが袖を翻して走り回る。敗戦の武士は腹を切り、捕らわれた公家は配流か斬首、皇族は配流されたうえでときに弑さ…

2024年1月14日 昨夜は初雪とかなれど見ず

百十九枚。三章の三分の一を終えていよいよ南北朝の合戦時代の序に入る。富士登山に例えれば五合目か。ゆっくりと、丁寧に書く。書いた文章が絡み合ったミミズのように転倒する。どういう文章を書こうと言うより、書いた文章自体が思考を等っている感じがす…

2023年1月12日 A drowning man will clutch at a straw.

百十七枚半。今日も挿入と書き直し。資料の「増鏡」「太平記」「大日本史」「南朝編年記略」などの記述内容の選択と整合に手間取る。嘘のまこと、まことの嘘が入り乱れていて、錯綜したそのむこうに事実や登場人物たちの実存的真実が霞んでいる。それらの事…

2024年1月10日 人の世は七草のごと我は蕺

百十七枚。あと一枚ほどで三章の三分の一書き終える。挿入の挿入、書き直しの書き直しが続く。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全うしようと…

2024年1月8日 苦しくて楽しかりけるこの世かな

百十五枚。後醍醐天皇の大和潜幸の前後の謎が木津での場面に集約しているので、今日で三日かけて加筆したり書き直したりしている。そうしているあいだにも京では幕府軍が比叡山を攻撃しているので、あと二、三枚で後醍醐天皇を笠置山へやったあとそちらへ筆…

2023年1月6日 謹賀新年。本年も宜しくお願い申しあげます。

百十三枚。京を脱出した後醍醐天皇が山城と大和の国境に近い木津川南岸の木津まできたところまで書く。「太平記」では輿できたことになっているが子の刻に御所を出た天皇が六波羅の監視を逃れながら夜明けまでに輿で国境までくることはどう考えても無理なの…

2024年1月4日 冬来たりなば春遠からじ

百十一枚。型どおりに小手へ斬り込む。神器を持って御所を抜け出した後醍醐天皇は大和へ潜幸、笠置山に御座所をおくまでを今日から書く。刃筋を立てて書く。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅林で破門同然とな…

2024年1月2日 石川地震お見舞い申しあげます。

百十枚。年が変わってもまだ蛇足めいたところを書いている。よく言えば斬りかかる前に間合いをはかっているような感じ。わるく言えば怯えて尻込みしているような感じか。それなりの勇気が要る。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakute…

2023年12月31日 大晦日の引っ越しをはじめて見る。

百八枚。後醍醐天皇が笠置山へ遷幸して挙兵するところまで辿り着かず大晦日を迎える。ここ数日余計なことばかり書いている気がするが、余計なことも大事なことだというおもいがどこかにあり、ほんとうに無駄なことならあとで推敲のときに削ればいいとおもっ…

2023年12月29日 餅、蕎麦、蜜柑。正月の用意万端。

百六枚半。俊基が捕らわれるとき京を逃れた空如が正成のもとへ来て後醍醐天皇の南都遷幸と挙兵のことを告げる。このとき、先の正中の変で捕らわれて佐渡へ流されていた資朝とこのときの元弘の変で捕らわれて鎌倉へ送られた俊基はすでに斬首されているが、空…

2023年12月27日 人の世のまことも嘘も織り染めて 清水に晒す年の暮れ

百五枚。 この刹那幽かに音してつらなるや もしかして阿修羅なるかもこの刹那 移る世のながき夢醒めその刹那 荒き流れに棹さす 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世…

2023年12月25日 七四のこの年の暮れダレル読む

百三枚。元弘の変のあと後醍醐天皇の南都遷幸の直前まで書く。このあとは合戦に次ぐ合戦で、それに呑まれるとただの太平記の焼き直しになってしまう。心のバランスを保ちたいので、意識のベクトルが真逆のダレルの「黒い本」読み出す。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓…

2023年12月23日 斬り抜けるより手がないという死地にいる自覚。

百一枚。三章に入る。今朝、唐突にロレンスが読みたくなる。大体、いつもそのとき書いているものと真逆なものが読みたくなる。ロレンスは何十年か前にほとんど読んでいてやや食傷気味だったのだが。ちょっとペースが乱れているのであえてゆっくりと書く。そ…

2023年12月21日 アホにアホというアホ。

百枚。二章書き終える。後醍醐天皇の隠岐配流は今日から書き始める三章へ先送りする。「AIタイトルアシスト」という表示が邪魔をしていて打ちづらい。そもそも検索エンジン向けに最適化したタイトルをAIに提案してもらうというのは逆立ちした理屈で、何やら…

2023年12月19日 ウクライナもガザもまだ遠し年の暮れ

九十八枚。日野俊基が捕らわれるところまで書く。俊基の住まいが何処にあったかわからず手を焼く。俊基が鎌倉へ送られて斬られ、後醍醐天皇が隠岐へ配流されるところまで今日、明日で書いて二章を終える。ゆっくりと仕手が登場する感じで書く。 酒盛正の電子…

2023年12月17日 資料読む夜のトイレや最上天

九十七枚。今書いている作品の二章が終わるや終わらずやと言ったところで、次作の資料の読み込みを始めるのはまだちょっと早いが、だいぶん多いので、そろそろ読み始めないと読み切れない。ノートをとらなくてはならないようなものは後回しにして、時系列で…

2023年12月15日 遅筆という順調。

九十五枚。吉田定房が鎌倉へ主上謀反という奇っ怪な密告をするところまで書く。定房の心中への憶測はあまりながく書かず、鎌倉の反応と京の騒擾を今日から書き出す。京の変事に正成が亀のように頭をすっこめているところまで書いて二章を終える。次作の資料…

2023年12月13日 富士山が火山であること。

九十四枚。正成のことはしばらくそっちのけで元弘の変の手前まで書く。ドキュメンタリイではないので何もかも書く必要はないが、不必要とおもわれるものの中に書くべきものが紛れ込んでいたりするので、取捨選択は慎重にする。あとで書き漏らしに気づいたと…

2023年12月11日 蛇行上々。

九十二枚。しばらく後醍醐天皇を中心とした京の政争を書く。足利尊氏や新田義貞が登場すると合戦の描写が中心にならざるをえないが、そのときは外連なく合戦を書く。変な道徳観や感傷は書かない。そういうことを接着剤のようにつかう書き方がわるいとは言わ…

2023年12月9日 煮る身とて煮られる身とてわが命

九十一枚。元徳三年の正月の後七日御修法まで書く。ようやく物語の正面門が開く。屋根瓦がいきなり頭上へ落ちてくるような書き方ではないが、先ず々ゝの書き出しになる。読み手がどうおもうかというようなことは考えない。そんなおもいが頭の隅にでも浮かん…

2023年12月7日 小説は人間の砦。

八十九枚。昨日、パソコンのバックスペース・キーがはたらかなくなって、もう七年もつかっているのでいよいよ毀れたかと覚悟したが、今朝試みたら直っていた。昨日は強い太陽フレアーが地球に到達していたというのでそのせいかとおもったりしたが、ともかく…

2023年12月5日 宗教の倒錯というミステリー。

八十七枚半。三ヶ月毎の定期検診。朝七時に出て今帰る。もう午近くなので午前中の仕事はせず、少し休んだあと午にしてから午後の仕事をする。昨日、文観を登場させたが、その人柄や教義をどう書くか迷いがある。病院への往き来のバスの中でもずっと考えてい…

2023年12月3日 熊と花瓶。

八十六枚。四つの史料を引き合わせた世良親王遺領についての解釈に齟齬があって、それぞれの原史料にあたって整合させるという手間があって、昨日書いたところに手を入れるところから今日の仕事を始める。こういう史料の拗れに歴史の真実が隠れているのでお…