古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2022年3月26日 ボヘミアンに小説は書けない。

三百九十二枚。太子の十七条の憲法を全文載せたいのだが、小説としては如何なものかと迷っていて、先ずは全文載せその前後を書いてからもう一度考えることにする。この前段で書いた冠位十二階の制のところでも書き残しがあって、このあと数日かけて二、三枚…

2022年3月24日 頭の野焼き。

三百九十一枚。週に二日、晩飯前に焼酎を割ったのをコップ一杯呑む。今までは水で割っていたが最近は炭酸で割る。それを呑むと喉をこすときに水素が跳ねて甘みのない刺激があって心地いい。快い酔いがあってひと眠りするともうさっぱりしている。頭の中も野…

2022年3月22日 雨天。このあと雪か。

三百九十枚。書き終えた八章三分の二に一枚書き足す。あと十五枚、推古十三年に太子が斑鳩宮へ遷るまでで八章を終える予定。つまり二年ほど走る。ゆっくり走る。これまでまだ納得できるものを書いたことがないので、小説の書き方については一家言もなく経験…

2022年3月20日 春がきたような。

三百八十八枚。そろそろ枇杷の摘果をする時期なので、昨日、実のつきようを見てみたが、今年は冬の寒さが厳しかったので実のつきようがまだ柔で、もうしばらく待つことにする。昨日八章三分の二書き終えたが、寸前でちょっともたもたしたので枇杷と似てよう…

2022年3月18日 大事な大事な言葉。

三百八十六枚。雨。昨日、下書きが少し書けたので、今日は二枚か一枚半ほど書けるかも知れない。そのあと桜井道場の尼たちが豊浦宮のあとへ移って豊浦寺になるところまで書いて八章の三分の二を終える。歴史をなぞるような書き方は気に入らないのだが、今度…

2022年3月16日 書くほどの苦労は並みのもの。

三百八十五枚。一枚で小墾田宮への遷宮を書き終える。今日は秦河勝へ弥勒半跏像下賜のところ。この仏像が百済のものか新羅のものか日本で作られたものかわからない。ちょっと見、台座に腰掛けた体躯のつくりがこなれていない感じがする。太腿、脹ら脛、臑の…

2022年3月14日 鶯の鳴き声の聴き方を説く愚かさ。

病院通いとワクチン接種で結局丸二日潰れ、そのあと書き出したものの書き直しばかりして二日も空回りしてしまった。その書き直したもののメモをもとにして今日またあらためて書き直す。焦るときはたいがい書きたいことを何もかもいっぺんに書こうとして、そ…

2022年3月12日 歴史の推理は大体平凡な道理に帰着する。

推古朝のころから日本でさかんに作られ始めた鋳銅の仏像がその少し前ころから鉄剣におきかわっていった銅剣を鋳つぶしてつくられたものではないかという仮定を小説でつかうことにする。銅剣を何かの意図を持って大量に鋳つぶして仏像にしたのではなく、仏像…

2022年3月10日 考えることを考える。

三百八十四枚。今日はこのあと病院へ行くので、たぶん丸一日潰れる。明日はワクチン接種で半日潰れる。小墾田宮への遷宮をひと月後にひかえた耳梨の行宮に太子、馬子、大夫らがあつまって遷宮の段取りを打ち合わせる。遷宮は齋部の卜定によっておこなわれる…

2022年3月8日 油を売る油屋。

三百八十三枚。太子と当摩王の会話を書き終える。ちょっと気が緩んで一息入れたいところ。そこのところを我慢して、きりきりと腹を決めて次へかかる。切っ先で左目のまなじりが切られるような瞬間だが、怯えや迷いを振り切る。何もかもなくなった頭の中が石…

2022年3月6日 恰好をつければ持続の志。

三百八十二枚。太子と当摩王の会話をあと一枚、今日、現代語で書き、明日それを上代語になおして書く。そのあと推敲でこなす。こなしの推敲でともかく荒挽きした木材のような文章をつくる。そのあと作品が仕上がるまでに何回も目的の異なる推敲を重ねるが、…

2022年3月4日 いにしへの言葉の先のいにしえよ

上代語に手こずって半枚ほどしかすすまず。上代語辞典を買えばいいのだが、安くても一万円近く、高いのは数万円する。古本で五千円くらいのが一冊インターネットにでているので、どこかで実物の使い勝手をたしかめてみようと思う。大概の古語辞典は読むため…

2022年3月2日 人間の影の実存。

三百八十枚。内子の舎人女王を赤石(明石)に葬って筑紫へ下向せずに大和へ還ってきた当摩王に太子が悔やみを述べにいく。ふたたび二人の会話。当摩王を新羅再討伐軍の将軍にしようとした馬子の意図について語る。メモ七枚。今日、明日で原稿一枚前後にまとめ…

2022年2月28日 哲学は地蔵菩薩の行と知る

三百七十九枚。当摩王と太子の会話を書き終える。文字による記録がほとんどない時代の上代語の会話なので、「万葉集」を参考にしているが、助詞などがすぐ後の奈良時代のそれとも違っていて、ひどいときは活用の意味が真逆だったりすることがあって到って書…

2022年2月26日 歴史は生きている。

三百七十六枚。このたびのウクライナ侵攻でロシアの威信は失墜した。ロシアの背後には中国の影が垣間見える。国連安全保障理事会の常任理事国の無責任な凶行で、戦後の国際社会の民主主義的秩序に平衡を与えてきた国連システムに修復不可能な瑕瑾が生じた。…

2022年2月24日 筆で掘る歴史の実存。

三百七十四枚。太子と当摩王の会話で薄い々ゝ歴史の膜を突破する。馬子がどのような政治家で、大和王朝でどのような位置を占めようとし、三韓とどのような関係を持とうとしていたのか、歴史の欠落を埋めて矛盾を揉みほぐすように書く。歴史に陰謀論はないの…

2022年2月22日 ゾロ目は何となく縁起よし。

三百七十三枚。当摩王が普請中の斑鳩宮に避暑をかねて逗留中の太子を訪ね、新羅征討軍の将軍として筑紫へ下るにあたっての支援を頼む。今日は二人の会話を書く。それと普請を始めて丸二年目の斑鳩宮の様子を少し。斑鳩宮が完成して太子が上の宮から遷るのは…

2022年2月20日 視野の外の視点。

三百七十二枚。当摩王が新羅征討軍の将軍に任じられた勅命を免じられるよう馬子へ頼むが、勅命を翻すことはできないと諭されるところで八章三分の一書き終える。今日は当摩王が斑鳩に逗留する太子にも相談に行くところから書く。当摩王の妻の舎人女王の死が…

2022年2月18日 「失われし時を求めて」の第六巻を読み始めて歳を感じて止める。

三百七十枚。薨った久米王に代わって異母兄の当摩王が新羅征討軍の将軍に任命されるところまで書き終える。このあと一枚半ほどで当摩王の妻の舎人女王が亡くなって新羅討伐が沙汰止みになるところまで書いて八章の三分の一終える。今日のぶんを書いたあと前…

2022年2月16日 ぼやきか自重か

三百六十九枚。このブログを始めてからもう十二年目になるが、最初の一月くらい訪問者はほとんどなく、八、九年するうち十人くらいがくるようになったところでヤフーブログが終わってしまったので、このはてなブログに移るとまたしばらく訪問者がなくなった…

2022年2月14日 あたふた

三百六十八枚。今日から新羅征討軍将軍久米王の死にかかる。後任の将軍にやはり太子の弟の当麻王が任じられる。この年に小墾田宮遷宮があり、書くことがあれこれと散らばっていて、気持ちがバタバタすると書き損じるので、例によってゆっくりと、何度も同じ…

2022年2月12日 書かない空から吹きつける風。

三百六十六枚。調子麿を欽明の最後の年にきて副使が正使を謀殺した高句麗国使団の事件の巻き添えになった随員高思波が山背に潜行中につくった子として二日がかりで登場させ、今日もう一日かける。十五行から二十行。名は子波。推古十一年、子波三十一歳のと…

2022年2月10日 霙のような実存。

三百六十五枚。霙が降っていて、このあと雪になるという。太子伝承に太子が乗る馬の口をとった調子麿という人物がいて、平安時代に人名につけるようになった「麿」が飛鳥時代の名前にあるはずがないので架空の人物らしいのだが、法隆寺の地元にはもっともら…

2022年2月8日 ジョウビタキが夜窓辺で鳴く。

三百六十四枚。厩戸太子二十九歳まで書き終える。今日は膳臣と斑鳩の地の関係を書いて厩戸太子三十歳の春に入る。今書いている小説は描写を極力抑えて歴史的叙述に専念している。それが筆を重くしている理由の一つだが、書いている小説の肝が飛鳥という時代…

2022年2月6日 このところジョウビタキがきているらしい。

三百六十二枚。膳部菩岐岐美郎女を娶った厩戸太子が膳部傾子の領所に近い斑鳩に新宮の造営を始める。三十歳を目前にした太子の政治的心理を書く。馬子との関係、姻戚となった膳部傾子との関係、大陸文化への憧憬など。先週は体調不調で辛かったが、昨日の夕…

2022年2月4日 十二歳のときに「ドウィノ哀歌」を読んだときの運命の自覚。

三百五十九枚。三分の一がすぎてちょっと筆がすすみ出したが、まだ本調子が出ない。この数日体調不調ということもあって書き直しや跨いだ部分の挿入が多くなり、まるで蹌踉めいているような案配で、今日もたぶんこんな具合で書く。一日の吉も凶も神ならぬ紙…

2022年2月2日 冬の夜の夢

三百五十八枚。昨夜、仏と鬼と蛇のアイデア。一日練って、昨日書いたところの前と、昨日書いたところと今日書くところのあいだに挿入し、一つは今日書くところの後尾へ加える。仏と鬼のアイデアは蛇の所業のアイデアから派生した。仏と鬼というとステレオタ…

2022年1月31日 ウジウジと這ううちに蝶になる。

三百五十六枚。昨日から新しい章で、七章だと思っていたら八章。前のほうがずいぶん削ったので枚数が一章ぶん少なくなっていたので計算違いしたが、ノートに書いた小見出しの数を数えて気がついた。新章の頭を書いたところで章の入り方がまずいことに気がつ…

2022年1月29日  老人がゆっくりと立ち向かう。

三百五十五枚。一昨日七章を書き終えるはずだったのが終わらず、今日、たぶん、三百五十六枚で書き終えられる。今朝、目覚めて布団の中でぼんやりしているとき、自分はどういう小説を書きたいのかと考えた。若いときに書きたかったものとは明らかに違う。今…

2022年1月27日 もう少し歳をとったら白名山のような小説を書きたい。

三百五十四枚。多分、今日中に七章を書き終えて八章に入る。三ヶ月で一章のペースだったが、七章は四ヶ月かかった。八章もゆっくりと書く。ゆっくりと書く味みたいなものがわかりかけている。五十歳のときに書いた処女作の「風譚義経」(文芸春秋)を読むと、…