古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2022年8月21日 尊氏が陣中で黙って瓜喰っている

 四百七十九枚。馬子の命をうけて韓三国と隋をまわった雄成が新羅使とともに帰朝し、飛鳥川東岸の蘇我邸の池の島にある四阿で馬子と密談しているところを書いている。翌年早々にも隋が新羅の要請をうけるかたちで二百万の大軍を高句麗討伐へ向ける意志を固め、すでに国境近くに兵粮を集結させていること、高句麗百済新羅の韓三国のそれぞれの思惑などの探りえた情報を報告を雄成から聞くと、馬子はこれまですすめてきた新羅を封じ込めるための倭、高句麗百済連携を危ぶみ、盟約による半島出兵をひかえて様子見することにする。もし隋がその圧倒的兵力で半島を制圧すれば、それに先立って隋と直接の外交関係を築くことに倭の未来を見出そうとしたのは太子の慧眼だったと言える。しかし馬子の状況判断はそれほど単純でも楽観的でもなく、近年筑紫の南の琉球奄美あたりまでしきりに船を出してくるようになった隋が、韓三国を併呑するか完全に属国としたとき、倭にまで手を出してこないという保証はなかった。太子は中原の先進文化に憧れている。しかし、馬子には隋も他国同様豹狼としか見えなかった。しかもとびきり巨大で、いったん睨まれれば逃れるすべはなかった。「如何になさむ」という馬子の心中の呻きが「転」の幕開けになる。

 

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 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全うしようとするが、そうして真摯に生きようとすればするほどこの世に生きる場を失う。良寛は身を屈め、大きな体を小さくして人の世を生き凌ぐ。ーーかくばかりうき世と知らばおく山の草にも木にもならましものを

          160円(税込み

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 釈迦牟尼(サキャ族の聖者)、仏陀(真理を悟る者)と呼ばれるゴータマ・シッダールタは、どのようにして現象としてのこの世の真の姿をとらえ、苦からの解脱という方途を見出したか。その大悟までの半生を描く。
   100円(税込み)

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 ユダヤ教から卵生したキリスト教を、ユダヤ主義者や異教徒と厳しく対決しながらローマ帝国に教線をひろげていった聖パウロを中心に、新約聖書記述者のルカやマルコをはじめとする伝道者たちの信仰を描く。
   280円(税込み)

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 明治二十三年春三十九歳で来日し、五十九歳で亡くなるまで日本を離れず、「知られざる日本の面影」「霊の日本」「神國日本」などをあらわして日本を西欧に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の評伝小説。
    100円(税込み)

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僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
近代日本の芸術における過剰な商業主義への光太郎の生真面目な抗議は、
美しい日本の良心と言えるだろう。
日本近代詩の父、高村光太郎の生涯!
   280円(税込み)

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酒盛正全詩集
作品No.1より
雨。かってこれほど充実した一日はなかった。夕闇と
ともに空は明るみ、疲労が私を襲った。野の道の地蔵の
前に私は屈みこみ、しきりに自由とか孤独とかいうことを
考えた。濡れた雨傘は鉄鉢を持つ地蔵の腕にたてかけて
あった。夜が迫りつつあった。
   100円(税込み)

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 かく歩み、かく思い、かく書く。文学日記より拾った鳥道の粋藻。小説が生まれる前の素描。文学日記セレクション
   240円(税込み)

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