古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年4月29日 目に青葉山不如帰最後の一行

追加四十八枚。今日は摩理勢が斑鳩宮へ逃げ込むところまでを書く。山背大兄王は蝦夷との武力対決に躊躇する。山背大兄王に戦う意思がないことをしると、斑鳩宮の近くに住まう大兄王の異母弟の泊瀬仲王を頼り、そこにもいられなくなってやむなく境部の田荘へ…

2023年4月27日 一雨のうちは抜かずと草のいのちも

追加四十六枚。蝦夷と決別した摩理勢が馬子の墓所を造営している桃原の廬舎を引き払い部民(べみん)を田荘へ引き揚げさせるところまで書く。あと数枚だが、はっきりと何枚かわからない。もう一息で山を抜けられる。先に開けたところが見えている。で、エイヤ…

2023年4月25日 世の常は恐ろしげかな春の山

追加四十四枚。蝦夷と摩理勢の対決に入る。蝦夷と大伴鯨連らによる田村王擁立の根回しが着々とすすむなか、山背大兄王に与する蝦夷の叔父の摩理勢との対立が尖鋭化する。摩理勢は山背大兄王に蝦夷らの謀略を告げ、大兄王の名で支持勢力を糾合して蝦夷らを討…

2023年4月23日 理に落ちて泥池で溺る鴨

追加四十枚。山背大兄王と蝦夷の大夫らを介しての王位継承をめぐるやりとりを三分の二ほど書き終える。このあと山背大兄王の擁立を主張して蝦夷と対立した境部摩理勢が蝦夷に攻め滅ぼされるところまでを書いて今週中に完結させたい。本作の中ほどで太子があ…

2023年4月21日 太平記には月も見ずとならぬよう

追加三十八枚。追加の二十六枚目のところに、六年前に太子と馬子が選録した王紀、国記、諸氏の由緒を太子の死後に蘇我氏の系譜が王統につながるよう改ざんされていることを馬子が蝦夷に教える下りを一枚半挿入。追加の追加でややこしい。夜、トイレで読んで…

2023年4月19日 チャットGPTなら明確な嘘八百をならべる。

追加三十六枚。昨日から、「紀」に記述のある蝦夷が甘樫丘邸に大夫らを招いて王嗣擁立の根回しをするところを書いている。このとき招かれた者の中に西漢(かわちのあや)氏の難波吉士身刺(なにはのきしむざし)の名があり、招かれたのが朝議に参議して王嗣の擁…

2023年4月17日 自我という大きな石を風が嬲っている頭の中。

追加三十四枚。三月に崩御した推古の喪礼が終わった秋になってもまだ嗣位が決まらないという状況まで書く。このあと山背大兄王を嗣位に推す境部摩理勢と田村王を擁立しようとする蝦夷の抗争と翌春の舒明即位まで書いて終わらせる。書き終える目途が立ったと…

2023年4月15日 南無棚ぼた夢観世音

追加三十二枚。ここ二日ほど推古崩御後の山背大兄王、蝦夷、大伴鯨連の王位継承にまつわるうごきについて寝ながら考えたことを翌日書いている感じ。推理が流れたり間欠的だったりするのが政略のリアルに妙に適っている。今朝も二枚のメモを持って起きる。朝…

2023年4月13日 太陽系の外辺のどこかを今もめぐっている冥王星のあたりで書き終える。

追加三十枚。昨日、ようやく推古崩御まで書き終える。このあと山背大兄王と古人大兄の王位擁立をめぐる係争、その帰着としての舒明即位まで書くとなると、結局あと十七枚から二十枚くらい追加して丸々一章分書く羽目になる。歴史小説は主人公が全部死んでし…

2023年4月11日 うきことも花にはしばし忘られて春の心ぞむかしなりける 堀川具親

追加二十九枚。一昨日に推古崩御までを書き終えるつもりだったのが、まだけりがつかない。追加枚数が二十九枚になっていて、もしかすると短い章立てですまなくなって、他の章と同じくらいのながさになるかも知れない。となると今月中に書き終えられるかどう…

2023年4月9日 松風に身構えず魂晒す

追加二十八枚。今日、推古崩御を書く。これで太子、馬子、推古の三人の主人公が全員死ぬ。ところがまだ話が終わらない。あと何枚というより、終わらせ方がわからなくなっている。書くべきことはわかっているので、手探りでゴールテープをとらまえるしかない…

2023年4月7日 春風駘蕩閻魔の辻

追加部分の訂正したところを半枚削除することにする。すぱっといきそうでいけない。今日はその部分をやって、前後を直してからそのあとを書き継ぐ。窓から入ってくるすっかり春めいた陽気の陽射しをぬるま湯のように感じながら、さて思案のしどころだとちょ…

2023年4月5日 目の上の瘤的実存。

追加部分三枚半ほど大幅に書き直す。今日は推古が田村王と山背大兄王へ王位継承についての遺言ともとれる言葉をかけるところを書く。推古は七十五歳で、九日前から痛みをともなう症状に苦しんでいる。苦痛で土色になった老婆の顔が作中の推古の実存で作品の…

2023年4月3日 皮相と本質の文学における同質、あるいは遞立性。

追加二十六枚。田眼王女の死のあと一気に推古崩御の直前まで書く。推古は七十五歳で崩じるが、痛みをともなう症状が十日ほどあって息をひきとるので老衰ではない。癌ならいきなり痛みが出てわずか十日で死ぬというのもあまり聞かない。そのあたりのことを今…

2023年4月1日 春日すら田に立ち疲る君は悲しも (万葉1285上句)

追加二十五枚。あと五枚ほどか。推古崩御の一年前まで書き終える。もう四月かと、溜息する。世情鬱々として時代オタク願望あり。過渡期というより瓦解に到る危ういほへ相乗的に傾いていく感じ。文弱の悲しみ。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック…