古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年11月29日 文章のリアルという反リアルの闇。

五百三十八枚。膳部は蘇我の縁族で、菩岐岐美郎女が太子の夫人になったのは野辺で花摘みをしている彼女を太子が見そめたからだという文芸的なことではない。崇峻が大伴の女を嬪にしたのをゆるさなかった馬子が、太子が他族の女を妃とすることをゆるすはずが…

2022年11月27日 神は仏か幻か。

五百三十七枚。推古、太子、馬子の鼎の心理を今日、明日で書き終える。あと六十四枚で完結。どこまで書くかいちおう見切りをつけたので肩が軽くなって書きやすくなる。書き終えるのは三月か四月。そのあと推敲に半年。出来不出来は推敲が済むまで不明。どう…

2022年11月25日 桃色の巾着帽を被り白い袷を着た子どものような背丈の老婆を見る。

五百三十六枚。「南北朝」読み終え、「北朝の天皇」を読み始める。どちらも新書版なので読みやすい。「梅松論」は一日一頁のペース。書くほうはいつものペース。ここひと月ほど体調不調が続き、目の前のやるべきことをやっているという感じ。ながい期間にわ…

2022年11月23日 腸を掻き出し首を切り落として切り身にしようか煮ようか焙ろうか。

五百三十五枚。推古二十八年の欽明陵改修まで書き終える。二年後の太子と膳部菩岐岐美妃の死までが十一章。次作の資料「梅松論」読み始める。このころに現代の日本語の文法の基礎が完成したようで、活字ならほぼ原文で読める。原文が漢文白文の綸旨、起請文…

2022年11月21日 心中十方無尽 不惜身命 唯偲青雲

五百三十四枚。十一章の三分の二の後尾に一枚加筆。次作の資料として読んでいる「改稿 足利尊氏」読了。続いて「梅松論」を今夜から読み出す。資料は午後一作、夜一作、まだノートをとらずに読み継いでいる。南北朝の通史と後醍醐天皇関係はもう何冊かずつ読…

2022年11月19日 今し世の八十億人の賑やかさ

五百三十三枚。推古と馬子の会話が予定より一枚つまって十一章の三分の二を書き終える。一行の空行をおいて太子と馬子の緊張関係を書き出す。太子も馬子も武人ではないので戦闘場面はない。推古二十八年に太子と馬子がともに議して天皇記、国記、臣連伴造国…

2022年11月17日 思わずば書くは易しかペンと紙だけ

五百三十二枚。ここ数日、手探りで書き継いだ四、五枚を大胆に組換え、その前後の摺り合わせの手を入れる。言葉がその意味するところを変えずに表情を変える。そのうえで、あと二枚書き継ぐ。それで十一章の三分の二を書き終える。雨激しければ土洗う。 酒盛…

2022年11月15日 まっすぐまがる。

五百三十枚。あと三枚で十一章の三分の二書き終え。そこまで手探り書きが続く。ここが主題の頭頂にあたる。推敲四百枚終える。八章で「十七条」を全文載せてあるのを全部削るかそのままにしておくか決められない。「十七条」は太子の政治の肝なのだが、小説…

2022年11月13日 魂のるというもさらなり秋の雲

五百二十九枚。推古と馬子が太子家のことで話すところを今日書くつもりで、一昨昨日に箇条書きのメモをつくっておいたのが、昨日あらためて見ると、まるで何のことか主旨が辿れない。今日はその謎解きから始める。自分で書いたことだから何とかなる。メモの…

2022年11月11日 鵺鳴ける一夜の怪しそ怪し

五百二十八枚。昨日は手島王女が生まれるところまで書き、今日からその手島王女をいずれ入鹿の妃にして(入鹿が婿になる)その王子を推古のあと王位に就く厩戸王のあとの日継ぎの太子とすることについて推古と馬子が話し合うところを書く。太子と馬子の水面下…

2022年11月9日 うしろから見て心知る

五百二十六枚。随の滅亡と三韓の動静のところを書き、一晩いろいろと再考するに、どうも違うなという気がして、今日書き直しする。こういう書くことによって気づく不首尾はあってしかるべき健全なことだとおもっているのであまり苦にならない。むしろ自分の…

2022年11月7日 陋屋の南天二本紅葉す

五百二十五枚。十一章半分書き終える。随滅亡後の三韓と倭の動静。太子の三教義疏の著述。そのあと太子と馬子が共同で企画した天皇記、国記の選録について書く。この企画で太子は国のあり方と王統の正統を明らかにしようと考え、馬子は蘇我の系譜を神授の王…

2022年11月5日 神住める雲間にのぞく朱雲の峰

五百二十四枚。大業十四年三月に煬帝が寵臣に縊殺されて隋が滅ぶところまで書く。このころ倭国では平和裡に蘇我政権の独裁化がすすみ、馬子がひそかに王権を窺うようになる。太子は対隋外交の失敗の責任をとらされるかたちで政権中枢から外され、斑鳩宮に籠…

2022年11月3日 困難を買って出る実存主義の宿痾。

五百二十二枚。推古二十四年の百済と新羅の母山城の攻防まで書く。百済と新羅は伽羅の帰属をめぐってなが年争っていて、争いがある都度双方から倭国の与力や中立を求めて使者が来朝した。このときも七月に新羅の使者が二尺の金銅仏を貢上したと「紀」にある…

2022年11月1日 木の葉隠れに去る秋そ山辺

五百二十一枚。一昨日、白髪部王のことを書き、その追加を昨日書いたが、今朝になるとその追加部分が蛇足になって消えてしまった。昨日はひどく疲れていたので書くほうもうまくいかなかった。季節の変わり目毎にそういう日が一日くらいある。そういう日もい…