古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2026年6月21日 ともかくも一日每の苦楽あり

 六百七十四枚半。一昨々日高くした足場で鋸をつかって枇杷の木を剪定したので、それからずっと足腰や腕や肩が張っていて、ちょっとした動作がままならない。剪定をする前日にあと二日ほどで巣立ちしそうだったヒヨを脅かしてしまって、ヒヨがびっくりして巣から落ち、そのまま強制巣立ちしたようになってしまった。半日ほど巣のまわりで飛ぶ練習のようなことをやってどこかへ飛んでいった。親鳥がついていたのでたぶん何とかなったかなと思う。書くほうは胸突き八丁の剣が峰が続いてラストスパートがかからない。

 

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 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全うしようとするが、そうして真摯に生きようとすればするほどこの世に生きる場を失う。良寛は身を屈め、大きな体を小さくして人の世を生き凌ぐ。ーーかくばかりうき世と知らばおく山の草にも木にもならましものを

          160円(税込み)

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 釈迦牟尼(サキャ族の聖者)、仏陀(真理を悟る者)と呼ばれるゴータマ・シッダールタは、どのようにして現象としてのこの世の真の姿をとらえ、苦からの解脱という方途を見出したか。その大悟までの半生を描く。
   100円(税込み)

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 ユダヤ教から卵生したキリスト教を、ユダヤ主義者や異教徒と厳しく対決しながらローマ帝国に教線をひろげていった聖パウロを中心に、新約聖書記述者のルカやマルコをはじめとする伝道者たちの信仰を描く。
   280円(税込み)

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 明治二十三年春三十九歳で来日し、五十九歳で亡くなるまで日本を離れず、「知られざる日本の面影」「霊の日本」「神國日本」などをあらわして日本を西欧に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の評伝小説。
    100円(税込み)

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僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
近代日本の芸術における過剰な商業主義への光太郎の生真面目な抗議は、
美しい日本の良心と言えるだろう。
日本近代詩の父、高村光太郎の生涯!
   280円(税込み)

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酒盛正全詩集
作品No.1より
雨。かってこれほど充実した一日はなかった。夕闇と
ともに空は明るみ、疲労が私を襲った。野の道の地蔵の
前に私は屈みこみ、しきりに自由とか孤独とかいうことを
考えた。濡れた雨傘は鉄鉢を持つ地蔵の腕にたてかけて
あった。夜が迫りつつあった。
   100円(税込み)

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 かく歩み、かく思い、かく書く。文学日記より拾った鳥道の粋藻。小説が生まれる前の素描。文学日記セレクション
   240円(税込み)

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2026年6月16日 世俗は世俗のやりかたで文学の世界に踏み込んでくる。

 六百七十二枚半。小夜中山の戦いにかかる。掛川の東にある比高二百五十メートルほどの小山を越えるように昔の東海道があって、浜名湖西岸にある橋本での合戦で尊氏ひきいる官軍に敗れた名越高邦ひきいる鎌倉方が東へ退く途、そのあとを追撃する官軍とこの山で交戦する。資料として「太平記」「難太平記」「梅松論」などの戦記物と武家の家伝、軍忠状、手負注文などの相伝文書をつかっているが、当然と言えば当然ながらその記述違いもふくめての真贋の判断がむずかしい。そうした歴史の細部のことは文学の本質的価値とは関係ないのだが、どうせ書くのならできるだけ事実というものの価値にも寄り添って書きたいとおもうのが人情だろう。楠木氏の出自をしらべるために古書市で見つけて中をよく確認せずに買った「楠木氏新研究」という本が、うちに帰ってしらべてみると十ページ破られていたことがある。もう何年も前の話だが、そのときの情けない気持ち、世俗のこんなところに文学の本質的価値へいたる隘路があるのかも知れないなどと負け惜しみにおもったことが忘れられない。

 

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2026年6月11日 我が儘は身がほそる。

 六百七十一枚。護良親王が身罷る状況を今日書き直す。資料から考えられるいろいろの状況の一つ一つを書いてみると、それらの状況の背後にある誤謬や誤認、ゆき違いといったようなことが炙り絵のように見えてきて、その状況証拠と動機から紡ぎ出す蓋然性をたどって書いていく。物証と記録にたよる歴史学者の手法とも物語性を求める小説家の創作手法とも違い、こうした書き方はしいて言えばその中間的な書き方だが、下手をするとどっちつかずのものになる。問題は読み手が面白いかどうかだが、何が面白いかは人それぞれなので、要は書き手自身のアイデンティティと時代のトレンドの兼ね合いという、わかったようなわからないような話になる。で、いっそ我が儘に書こうということになる。

 

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2026年6月6日 すぐに草臥れてしまってラストスパートがかからない。

 六百六十九枚半。尊氏が京を発し、そのあとを諸国総追捕使、東八ヶ国管領に任じる勅使が追うところまで書く。いよいよ胸突き八丁というところで、クライマックスの湊川合戦までにはまだ少しあるが、七十代後半にさしかかって疲れやすくなっていて、残り五十枚くらいの見当が果てしなくおもえる。ふと気がつくと一日外へ出ていなかったりして、するとその一日の仕事量と体力の消耗感がほぼ正確に対比でき、それがストレートに精神的疲労となる。その精神的疲労の自覚を徒労感と感じるようになったのはいつのころからか。今はまだ一晩眠ると多少恢復するのだが。

 

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2026年6月1日 なぜ無ではなく、何かが実在するのか。(ライプニッツ)

 六百六十六枚半。何日か前に最終章の予定だった十三章を書き終えて予定になかった十四章を最終章として書き出したものが、翌日になると書き終えているはずの十三章の後尾につけることになって、最終章が昨日まで一行も書けていなかった。昨日書いたぶんがうまくすると最終章の冒頭になりそうで、そうなると月変わりできりがいい。枇杷の実が色づいてきて採りごろになりかかっているのだが、ムク(多分)が巣をかけて卵を抱いているようなので、雛が孵って飛んでいくまで採れない。存在の基体性とか主体性というようなことを日長考えている人間には鳥のようなシンプルライフが羨ましい。

 

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2026年5月27日 どこまでもこの道か

 六百六十四枚半。好天。窓の外に日除け代わりに繁らせているムベの上辺の日射しに透けた葉色が美しい。今日は二週間毎にある雑誌類の廃品回収日で、朝少し早く起きてまた本を棄てる。そのくせ今にも雨が降り出ししうな川原に誰かが棄てた本が山積みされているのを見つけて何とか全部持って帰ろうと腐心している夢をよく見る。心のどこかに実用価値を超えた本そのものへの執着がある。ほぼ毎日一個か二個ずつ食べる一年分の梅干しを漬けるのに家内が昨日買ってきた小梅の微かな匂いにもおなじような執着を呼び起こすものがある。大仰なものよりもそうした些細な執着にみちびかれて生きてきたようにおもえる。

 

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2026年5月22日 ノアの笹舟

 六百六十一枚半。多分、今日、十三章書き終え、たぶん最終章になる十四章に入る。章を増やす予定がなかったのでまだ小見出しも考えていない。あとみ月かかって書き終えるうちに考える。最終章なので状況が絞られ、これまで書いてきた流れのゆき着くところもあるのでさほど迷うことはないと思える。気をぬくつもりはない。体はきついがこの世の終わりまで書き続けるつもりでいる。小説を書くというのは本来そうしたことだとおもっている。口笛を吹くように書いたという作家も、それなりに命を賭していたはずで、そうでなければ小説というに値する小説は書けない。なぜ小説を書くのかという自問の一歩先にはそういう雲を踏むような修羅道がある。モナド的実存という自己認識の主体である人間として正気を失わずに書き続ける以外自分の一生を全うすることが出来ない。

 

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 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全うしようとするが、そうして真摯に生きようとすればするほどこの世に生きる場を失う。良寛は身を屈め、大きな体を小さくして人の世を生き凌ぐ。ーーかくばかりうき世と知らばおく山の草にも木にもならましものを

          160円(税込み)

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 釈迦牟尼(サキャ族の聖者)、仏陀(真理を悟る者)と呼ばれるゴータマ・シッダールタは、どのようにして現象としてのこの世の真の姿をとらえ、苦からの解脱という方途を見出したか。その大悟までの半生を描く。
   100円(税込み)

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 ユダヤ教から卵生したキリスト教を、ユダヤ主義者や異教徒と厳しく対決しながらローマ帝国に教線をひろげていった聖パウロを中心に、新約聖書記述者のルカやマルコをはじめとする伝道者たちの信仰を描く。
   280円(税込み)

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 明治二十三年春三十九歳で来日し、五十九歳で亡くなるまで日本を離れず、「知られざる日本の面影」「霊の日本」「神國日本」などをあらわして日本を西欧に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の評伝小説。
    100円(税込み)

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僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
近代日本の芸術における過剰な商業主義への光太郎の生真面目な抗議は、
美しい日本の良心と言えるだろう。
日本近代詩の父、高村光太郎の生涯!
   280円(税込み)

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酒盛正全詩集
作品No.1より
雨。かってこれほど充実した一日はなかった。夕闇と
ともに空は明るみ、疲労が私を襲った。野の道の地蔵の
前に私は屈みこみ、しきりに自由とか孤独とかいうことを
考えた。濡れた雨傘は鉄鉢を持つ地蔵の腕にたてかけて
あった。夜が迫りつつあった。
   100円(税込み)

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 かく歩み、かく思い、かく書く。文学日記より拾った鳥道の粋藻。小説が生まれる前の素描。文学日記セレクション
   240円(税込み)

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