古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2022年9月26日 歴史の混乱期の社会的ヒステリーの話をする。

 五百一枚。書き漏らしがあって、十章の末尾に挿入。十一章の後尾も多少書きすすむ。晴天。秋めいた外気が住まいの中へも入ってくる。鉢に植えてある小梅が一メートルくらいになったので植え替え期になったらどうしようかという話を昨日だか一昨日にして、そのことをぼんやりと考える。今日の書くことがほぼ決まっているせいか、何となく気が緩む。これで一日とおせるかどうかわからないが、こういう自分の存在が薄くなる日もマゝある。ある意味貴重な一日。

 

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 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全うしようとするが、そうして真摯に生きようとすればするほどこの世に生きる場を失う。良寛は身を屈め、大きな体を小さくして人の世を生き凌ぐ。ーーかくばかりうき世と知らばおく山の草にも木にもならましものを

          160円(税込み

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 釈迦牟尼(サキャ族の聖者)、仏陀(真理を悟る者)と呼ばれるゴータマ・シッダールタは、どのようにして現象としてのこの世の真の姿をとらえ、苦からの解脱という方途を見出したか。その大悟までの半生を描く。
   100円(税込み)

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 ユダヤ教から卵生したキリスト教を、ユダヤ主義者や異教徒と厳しく対決しながらローマ帝国に教線をひろげていった聖パウロを中心に、新約聖書記述者のルカやマルコをはじめとする伝道者たちの信仰を描く。
   280円(税込み)

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 明治二十三年春三十九歳で来日し、五十九歳で亡くなるまで日本を離れず、「知られざる日本の面影」「霊の日本」「神國日本」などをあらわして日本を西欧に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の評伝小説。
    100円(税込み)

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僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
近代日本の芸術における過剰な商業主義への光太郎の生真面目な抗議は、
美しい日本の良心と言えるだろう。
日本近代詩の父、高村光太郎の生涯!
   280円(税込み)

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酒盛正全詩集
作品No.1より
雨。かってこれほど充実した一日はなかった。夕闇と
ともに空は明るみ、疲労が私を襲った。野の道の地蔵の
前に私は屈みこみ、しきりに自由とか孤独とかいうことを
考えた。濡れた雨傘は鉄鉢を持つ地蔵の腕にたてかけて
あった。夜が迫りつつあった。
   100円(税込み)

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 かく歩み、かく思い、かく書く。文学日記より拾った鳥道の粋藻。小説が生まれる前の素描。文学日記セレクション
   240円(税込み)

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2022年9月24日 卜伝は快刀乱麻の夢を捨て

 五百枚。十章の後尾がのびてようやく十一章に入る。「暗転」の章に入って書くことが複層的になり、書き漏らしをしないようメモが多くなる。そのメモが寝床で書くのがほとんどなので、昼間に見ると読みづらく解読に到って手間取る。苦労の種が尽きない。目の前のことを一つ々ゝと心掛けているのだが、その目の前のことが煩雑なくらいに沢山あって、散らかった部屋を片づけるというような到って単純作業にかかずらわらなければならなくなって、そのことが書くこと自体への思考力を鈍らせる。

 

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2022年9月22日 一本道の紆余曲折。

 四百九十八枚。今朝、布団の上で「帝紀」編纂が太子によって発議される次第のメモを九枚とる。「紀」にも「記」にも太子が発議したとは書かれていないが、当時、それを発議できるのは太子しかいない。王統のことは太子がまとめ、臣の氏族の由緒は臣の長たる蘇我大臣がまとめたということにした。客観的に見ればそうなる。この作品を書きながら、時代の風潮と自分の志向が合っていないという感覚が拭えない。多勢に無勢と悟って自分のおもいのままに書きたいように書く。意地を張っても仕方がないのだが、その意地に匕首を一本忍ばせている。

 

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2022年9月20日 文章の実存。

 四百九十六枚。小説は資料を読み込み、創作ノートを作り、書き、書き直し、挿入し、加筆添削し、推敲して仕上げるので、何度も手を入れる機会があるように思えるが、じつは書くべきものが自分の文章になる作用は即時的なものだ。即時のその一瞬にかたがつく。自分の文章は、自分の文章とは何かということがわからなくなったときに示現するもので、そのときは文章そのものに文章としての自覚が失われていて、ただ思考と感覚に直結した意識がとらえた表現として発現する。よいとかわるいとかいうようなことはその意識の上澄みにしかなく、それを吹きのけて書く。疲れているときはその吹きのけるところが乱れる。とり返しのつかない真剣勝負と同じで、自分の文章を書く刹那に自分の意識がとらえたもののかたちが決まる。

 

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2022年9月18日 足下のクレパス。

 四百九十五枚。このところ下書きをしてから本書きするというひと手間入れるやり方で筆が捗っていたが、昨日寝る前にしばらく布団の上に坐って考えごとをしていたとき、ふと、ここ数日間に書いた数枚を書き変えて前後を入れ替えなければならないことに気づいた。その作業のためのメモを数枚書いておいたので、今日それをする。早い話、下書きをして本書きをするやり方は作品の世界の実存を手繰る手間を料理の仕込みのように要領よくやるやり方で、当然こういう齟齬は起こりやすい。コロナ対応で少しでも負担のかからない書き方をしようとしたのだが、あとの書き直しの手間まで考えると到って面倒だし、その齟齬を見過ごしてしまう惧れもあるので、今日からもとの書き方に戻すことにする。

 

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2022年9月16日 秋になって緑が同じ生命の人間に懐こくなる。

 四百九十三枚。晴天。今日は菟道貝蛸妃の俄の不予とその死まで。そのあと隋の高句麗征討の失敗まで書いて十一章を終える。十二章は表向きは従前どおり平穏だが、貝蛸妃の死を契機に暗転した推古と太子と馬子の関係から書き始める。ゆっくりと書いているのに、ここへきて小説の中の時間が速く流れるようになった。急流下りの舟にのっているような感じで、放っておいても流れていくので、岩を避けながら舟のバランスをとるような竿使いの要領で書く。文章に身を委ねるような書き方はしないこと、と自分に言い聞かせる。ありきたりな設定と展開、どこかで聞いたような科白、使い古された安直な表現は避けられるだけ避ける。

 

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2022年9月14日 秋あれば生きられる

 四百九十二枚。菟道貝蛸妃の死の直前の太子と馬子の関係のところへの加筆の下書きを今日稿に起こす。妃の死のところの下書きもできていて、もしできたらそれもあとで本書きしたいが、逆にするかも知れない。秋になって少し書きやすくなった気がする。昨日、ちょっと気がむいて田宮虎彦の作品を読みかけたが、筆はこびが気が利いていて、そのまま映画の原作につかえそうな完成度だった。しかし、私が書きたいのはそのような小説ではなかったので、すぐ読む気が失せて本を棚へ戻してしまった。映像作品のような小説は書きたくない。映像にならないものを何とか文章にすることに眼目がある小説が書きたい。

 

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 釈迦牟尼(サキャ族の聖者)、仏陀(真理を悟る者)と呼ばれるゴータマ・シッダールタは、どのようにして現象としてのこの世の真の姿をとらえ、苦からの解脱という方途を見出したか。その大悟までの半生を描く。
   100円(税込み)

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 ユダヤ教から卵生したキリスト教を、ユダヤ主義者や異教徒と厳しく対決しながらローマ帝国に教線をひろげていった聖パウロを中心に、新約聖書記述者のルカやマルコをはじめとする伝道者たちの信仰を描く。
   280円(税込み)

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 明治二十三年春三十九歳で来日し、五十九歳で亡くなるまで日本を離れず、「知られざる日本の面影」「霊の日本」「神國日本」などをあらわして日本を西欧に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の評伝小説。
    100円(税込み)

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僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
近代日本の芸術における過剰な商業主義への光太郎の生真面目な抗議は、
美しい日本の良心と言えるだろう。
日本近代詩の父、高村光太郎の生涯!
   280円(税込み)

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酒盛正全詩集
作品No.1より
雨。かってこれほど充実した一日はなかった。夕闇と
ともに空は明るみ、疲労が私を襲った。野の道の地蔵の
前に私は屈みこみ、しきりに自由とか孤独とかいうことを
考えた。濡れた雨傘は鉄鉢を持つ地蔵の腕にたてかけて
あった。夜が迫りつつあった。
   100円(税込み)

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 かく歩み、かく思い、かく書く。文学日記より拾った鳥道の粋藻。小説が生まれる前の素描。文学日記セレクション
   240円(税込み)

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