古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2022年6月30日 名と器とは人に仮さず。

四百四十七枚。小野妹子が隋の国書を百済で盗まれたという「紀」の記述にはあまりにわからないことが多いので、できれば「紀」のままに書いて先へすすもうと思ったが、書いてみるとそうもいかないことがわかってきて、そのわからない部分がなぜわからないの…

2022年6月28日 聖と俗の狭間での乱取り。

九章の三分の二を書き終え、昨日から遣隋使の派遣と帰朝に入る。推敲は冒頭から百枚、二章ぶん終える。推敲の刃が立たず断念しなければならなかったところはやむをえず次ぎの機会に残す。自分の書いた文章がままならないという感覚は大事にしなければならな…

2022年6月26日 人の世の鬼下(おにおろし)やも夏の雲

四百四十六枚。今日は太子と毛人の会話の前後、迹見赤檮がかかわる部分を書き直す予定。赤檮は押坂彦人大兄の舎人だった人物で、大兄の死後太子の舎人になったという説があり、直の姓を持つ大和と河内の境あたりの豪族だが、大和王朝中央の権力抗争の趨勢を…

2022年6月24日 文学的お伽話。

四百四十五枚。要選書に入っている川端康成の「小説の研究」で武田麟太郎と島木健作の死について述べたところで、「死者が死者自らを書いたためしがないならば、生者の私は死者のことを書くべきではあるまいといふような逡巡が今は払落せない。」という、何…

2022年6月22日 呑気な阿修羅。

四百四十四枚。太子と毛人の会話を書き終える。推敲は無惨。推敲は誤謬を直したり文章をととのえたりする校正とは違って、文章となったものの拠って立つところを掘り返すものなので、やればよくなるという保証はない。書くこととほぼ同位の行為で、書くだけ…

2022年6月20日 這い這い無双。

四百四十三枚。あと五枚ほどで九章の三分の二書き終え。這い這い状態でその五枚がきつい。書かなければならないことを書いているときは、それがどんなにむずかしくても書くモチベーションを保てるが、筋の成りゆきでこんなことを書くことに意味があるのかと…

2022年6月18日 文学的疎外を拒んで生きのびる。

四百四十二枚。「南北朝時代史」読了。あと数冊で通史的資料を読み終えると創作ノートの年表のベースをつくるための下準備がととのう。このあとはその年表のベースに書き足す個人の評伝の読み込むことになるが、登場人物が多いのでひと苦労しなければならな…

2022年6月16日 無念、無想でなく、ひらきなおりでもない無双。

四百四十一枚。推古、太子、馬子の対話を書き終えたあと、太子と蝦夷の会話。その会話の中で遣隋使と小野妹子のことに触れる。書くのは一日半枚、推敲は一日二、三枚、資料の読み込みは一日六頁。年内はおおむねこのペースか。目の前のことに専念して、どう…

2022年6月14日 半枚の匍匐。

四百四十枚。太子と馬子の会話、額田部女王と馬子の会話、額田部女王と太子の会話と三者の一連の会話をほぼ書き終える。枇杷の実を採り終えてから枝を伐りつめる。ついでにムベもつめる。外での労働は気が晴れるが、すぐに疲れる。朝食の前にひと仕事して、…

2022年6月12日 天道虫の屁か溜息か。

四百三十九枚。一日に四分の一枚ずつしかすすまず辛い日が続く。冒頭からの推敲も一日一枚が精一杯、その煽りを食って次作の資料の読み込みも捗らない。二、三行を書いて、それを直したり消したり移したりして一時間もすると、酸欠の金魚が水面に口を突き出…

2022年6月10日 銃弾が脳細胞を掠める。

推古と太子の会話がようやく本題に入る。昨日、その下書きのメモを五枚ほどとって、今日、半枚ほどの本書き。あと一枚ほどで推古と太子の会話をまとめ、遣隋使に移る。半袖で笹の茂みを抜けたような感じで、とくにこれという負傷はしていないのだがダメージ…

2022年6月8日 アミノ酸の憂鬱。

四百三十八枚。推古と馬子の会話が続く。推古の娘で太子の正妃になっている兎道貝蛸王女が斑鳩宮へ遷ってから体調がおもわしくないという話をしていて、太子と馬子の関係についての本題に入っていない。登場人物たちが話しづらい話のところはその躊躇が筆の…

2022年6月6日 ホトトギス夏毎憂いて首のびぬ

四百三十七枚。今日から三日ほどかけて遣隋使派遣のふた月ほど前の推古と太子の会話を書く。前段の推古と馬子の会話の続き。糸を手繰るような書き方で何とも心許ない。前のアパートで以前からいろいろと近所に迷惑をかけていた住人が通報されたかして、警官…

2022年6月4日 迷いのない覚悟は思考停止にすぎず、迷いを自覚してこそ覚悟が実存になる。

このところ推古と太子と馬子の関係性について書いていて、本来は曖昧な部分を簡明を旨としなければならない文章で表現するという骨の折れることをやっているので、あまり筆がすすまない。朝目覚めると、さて今日はどうしたものかと思案する。思いあまって寝…

2022年6月2日 包丁一本晒に巻いて旅に出た。

四百三十五枚。暗闇を手探りするように四日がかりで半枚書きすすむ。出刃包丁の切っ先を突き込んで腸を掻き出し、それからそのまま包丁を替えずにひらいて捌くように書いていく。あと七日から十日この調子で書く。書くという行為において、ひとつの局面で包…

2022年5月31日 思考の爪。

二日がかりで書いたところが、書いてみてすぐ推古が太子と馬子を呼んで二人の不和を諫めるという状況設定にそんな教師が生徒の喧嘩の仲裁をするようなわけにはいかないだろうと無理があることに気づいて、先ず馬子を呼んで相談し、対処の仕方をあらかた決め…

2022年5月29日 犀の角のようにただ独り歩め。(スッタニパータ)

四百三十四枚。全体の半分をすぎたところで、いきなり主題の核心に立ち入らなければならなくなり、昨日から匍匐前進。推古と太子と馬子の会話というかたちで五枚くらいで書くつもり。それで昨日は呑む日ではなかったが、景気づけに一杯呑んで、気分を奮い立…

2022年5月27日 今日も半枚の格闘。観戦者は一人。

四百三十三枚。未明から明け方にかけて俄に雨まじりの風が吹き出した。起きたころには雨が強くなっていて、今もBSの画像が乱れる。今日は十時半から大谷が登板する試合中継があるので、それまでに雨雲がうごいてくれないかと気を揉んでいる。大谷、大谷とう…

2022年5月25日 犬死という文学的勝利。

四百三十二枚。九章の三分の一の区切りを少しずらして今日からそのあとを書く。白刃戦が続くと、何を書いているのかわからなくなる。今は書き切れるかどうかだけが問題で、うまく書けたかどうか判断できない。うまく書こうという心、そう思いながら書いた小…

2022年5月23日 実存と歴史の汀

四百三十一枚。今日から推古十五年を十枚ほどで、十六年、十七年を合わせて十五枚ほどで書く。今のペースだと五十日から六十日ほどかかる。太子が身罷るのが推古三十年だから、太子の死で終えるのならあと十五年、その四年後に馬子が死に、そのまた二年後に…

2022年5月21日 ない袖は振れないという貧乏人の開き直り。

四百三十枚。ヤツデを潰して幹と葉はゴミに出したが、根の固まりは市のゴミの収集規格に合うように小さくしなくてはいけないのでまだ少し残っている。毎日、書きものが終わったあと少しずつ切ったり割ったりしている。今日も壬生部の設置についての太子と馬…

2022年5月19日 柿の葉の妖怪変化。

四百二十九枚。壬生部の設置をめぐる太子と馬子の話し合いをあと一枚。少しペースをあげたい気持ちとゆっくり書きたい気持ちが半々。数日前から始めた頭からの推敲が多少負担になっている。もやもやとしたものがあるが焦れずに書いている。藤田源太郎の「源…

2022年5月17日 寝ても覚めても何かのへり。

四百二十八枚。昨日から壬生部の設置について太子と馬子の表沙汰にならない微かな軋みを書いている。この年に小野妹子を正使とした遣隋使の派遣があり、推古、太子、馬子の三頭政治によって生まれた飛鳥王朝の春の盛りなのだが、このときすでに蘇我一族によ…

2022年5月15日 虎は血のしたたる内臓にかぶりつく。

四百二十七枚。推古十五年の壬生部の設置を書き始めて、その状況的理由にやっと気がつき、そのそもそものところから手をつける。創作ノートでは余白になっているところだが、そういうところに得てしてこういう学者たちが要心して手をつけない歴史が転がって…

2022年5月13日 推敲は火の如し。

四百二十六枚。九章三分の一書き終える。全体の半分を終えたので、後半を書き続けながら机にむかう時間を三十分ほどのばしてこれまで書いた半分を頭から推敲する。ひと月ほどかける。このところ体調がすぐれなかったのは推敲がたまっていたからかも知れない…

2022月5月11日 ニシキヘビとMLB

四百二十五枚。何日か前に、大きなニシキ蛇に後ろから項をちろちろと舐められる夢を見たあと、どこということなく体調がすぐれず気分がよくない。眼鏡が合わなくなっていて目が疲れやすいことや、コロナやウクライナのこと、テレビがマンガのようなドラマや…

2022年5月9日 悩めるナメクジ。

四百二十四枚。太子と子波の仏教問答続く。あと二日ほど。全部で二枚半ほどだが、丸々虚構の話を書くのは沼地を歩いているようで疲れる。曇っていて、これから降り出すというので、気分転換に木をいじることもできない。今日一日、A4を半分に切った反古紙の…

2022年5月7日 蝶はもったりと飛べない。

四百二十三枚。柿の葉が大きくなって、花芽がたくさんついている。今年は実が多くなるらしい。今日から何日かで、橘尼寺で勝鬘経の講話を終えた太子が斑鳩宮への帰途に馬丁の子波と仏について話すところをメモ八枚に拠ってあまり抹香臭くしないよう注意して…

2022年5月5日 フルハウス。

四百二十二枚。目の前のことばかり見ていると、何かの拍子にふと気づく季節の移ろいが鮮やかに見える。いつもワンペアかツウペアの手のうちばかりをいじくっているうち、あるときふと気づくとフルハウス。ハッとするあの感じ。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表…

2022年5月3日 運命論に戸惑う実存主義者。

一昨昨日、中央図書館で調べものをしたが分からず、一昨日駅前の分館のほうへも行ってみたがやはり駄目だった。分館を出るときは雨になっていて、携帯の折りたたみ傘をさした。百メートルほど歩けば駅前のバスターミナルで、いったん広場の上を跨いでいる高…