古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2021年9月19日 低気圧が去った秋のこの一日。

二百七十五枚。厩戸王の立太子を書き、ここで一行空行をおいて六章の三分の一の仕切りにする。五枚半前の仕切りの空行はなくす。空行をおいて用明改葬と押坂彦人大兄王の謀殺を書く。痔がひどくて体調不良。病院で出された患部へ注入する治癒薬と飲み薬の鎮…

2021年9月17日 痔が・・・。2

二百七十四枚。昨日は痔の検査。惨劇。医師、「こりゃいじめだね。ハハハ」。私、「お世話になります。宜しくお願いします」。 今日も厩戸王の立太子についての推古と馬子と厩戸王の話し合いの続きを書く。上代の会話言葉の参考に「万葉集」を読み始める。上…

2021年9月15日 痔が・・・。

二百七十三枚。推古が亡くなった竹田王に代わって日継ぎとなる気があるか厩戸王へ打診するところまで書く。もちろん馬子と相談したうえのことで、馬子は厩戸王が立太子すれば自分の庶子の刀自古郎女を娶せるつもりでいる。刀自古郎女がやはり馬子の庶子で崇…

2021年9月13日 外野の野次が偉そうな総裁選

二百七十二枚。ペースが上がらない。竹田王の埋葬礼のあと豊浦宮で額田部女王(推古)と馬子から厩戸王へ立太子を持ちかけるところ。押坂彦人大兄王が竹田王を殺したと思い込んでいる額田部女王は、押坂彦人大兄王に王位を継承させないために厩戸王を日継ぎの…

2021年9月11日 雨の音。

二百七十一枚。薨った竹田王の殯のあいだに馬子が厩戸王を訪ねて推古の政を補佐するよう求める。厩戸王立太子の場面を今日、明日で書く。竹田王の墓は豊浦宮から一キロほど西南にある植山古墳で、その赤土の小丘の二つの横穴の一つに推古も合葬されていたと…

2021年9月9日 虎児をえんとす。

二百七十枚。馬子が推古に厩戸王の立太子を奏上する手前まで書く。厩戸王の立太子のあと、「紀」にはないが押坂彦人大兄王が謀殺される。一昨日、自転車を漕いでいるとき突然、次作の着想を得た。得てみればそれはこれまでの流れの必然だったように思える。…

2021年9月7日 ベーコンが読みたい。

二百六十九枚。竹田王の死を五行で書き終える。その死の推古と馬子のうけとり方の違いを今日書く。冷蔵庫が故障してメーカーの修理業者にきてもらったのであまり書けなかったが、新しいのを買えば二十万円くらいするのが一万六、七千円ですんだので文句はな…

2021年9月5日 色彩の判明性によって主題の構造が塗りつぶされることを避ける。 E・カッシーラー

二百六十八枚。推古即位を書き終え、今日は竹田王の死にかかる。押坂彦人大兄に殺されたかも知れないと推古は疑うが、竹田王はたぶん病死。ただし、物部守屋が河内に退去したときに守屋の命をうけた中臣勝海に呪われ、書いている小説ではその人形が広瀬の敏…

2021年9月3日 飛鳥時代の幕開け。

二百六十七枚。推古が即位した豊浦宮は、もし推古と馬子が崇峻暗殺前から造営していなかったとすればわずか三十五日で建てられたことになる。そんなことは不可能なので、かっての蘇我稲目の邸を宮に改築したのではないかと言われている。かって善信尼たちが…

2021年9月1日 人の依怙地に神も仏も大童。

二百六十六枚。今日、推古即位の直前まで書き終える予定。竹田王の病死、押坂彦人大兄の横死を少しずらす。人は歴史に都合よく死なない。むしろ不都合に死ぬ。人の死が歴史をつくるのか、歴史が人を殺すのか判然としない。しかし人と歴史の間隙に白刃が閃い…

2021年8月30日 文弱の流儀

二百六十四枚。坂上駒子がどうなったか、河上娘がどうなったか、馬子の思惑を辿るかたちで解釈にならないように書く。二枚くらいで、それを今朝プリントに上げ、そのあとを今日書く。快刀乱麻に書きたいときはあえてうじうじと書く。うじうじと書くと洞察の…

2021年8月28日 絶対的に孤独な精神も独りでは生きていけない。

二百六十三枚。昨年のブログを削除していたら、今書いている作品が8月24日に書き始めたとあった。するとちょうど一年で五章を書いたことになり、そこまで計算して書いたわけではないので、ぴたりと合うと手応えのようなものが感じられて何となく嬉しい。今…

2021年8月26日 「太平記」読み終え。

二百六十二枚。崇峻暗殺の事後処理から六章を書き始める。東漢直駒子の死、推古即位、竹田王の死、厩戸王の立太子、押坂彦人大兄の死と続く。馬子は小柄な男だったようだが、その政治手腕は同時代の余人を圧している。まだ十九歳の厩戸王などは未だ政治的手…

2021年8月24日 天に眼。

二百六十一枚。五章加筆修正で二枚のびる。六章に入る。崇峻を弑してその嬪だった馬子の庶子の河上娘を連れ戻すが、河上娘が妊娠していることがわかって事態が一変する。それが崇峻の子なら放っておけない。もし男なら殺すしかない。いずれにしても河上娘が…

2021年8月22日 実存の弾は生身の精神に当たる。

二百五十九枚。昨日五章をいちおう書き終える。今日、明日、二日かけて押坂彦人大兄の要素を加筆してそれにともなう修正をする。橋のない谷をわたってから吊り橋をかけるような作業。しかし、歴史の表舞台に出てこない押坂彦人大兄のことに触れないとこの時…

2021年8月20日 柿の葉に夏の空、家籠もり老人。

二百五十八枚。あと二枚で五章終える。全二十章の予定なので、ちょうど一年かけて四分の一を書き終えたことになる。六章で推古が即位してようやく厩戸王の出番が多くなる。書き始める前の気負いもどこへやらで、一日半枚ちょっとのペースがやっと。このあと…

2021年8月18日 ゆっくりとだがダイレクトに。

二百五十六枚。馬子が恣意的についた嘘と、はからずに周囲に与えた誤解と、のちに「紀」の記述にさいしての忖度やら伝承の誤謬が重なって見えづらい馬子の実像とその実存のかたちを探る。先ずそうした幾層もの層を構造学的に分け、層ごとの蓋然性を洗い出し…

2021年8月16日 曇天、時々雨催い。

二百五十五枚。二十枚ほど前の倉梯宮の様子と川上娘の身上のところへ一枚挿入。つまるところこの章の「木の葉風」の中心は馬子で、その性格と価値観と思考法が風を巻き起こし、木の葉を吹き散らしていたということになる。その馬子の人物像をとらえるところ…

2021年8月14日 思索を深めよと激しき雨降る

二百五十三枚。自分の手を汚さず東漢直駒をつかって崇峻を暗殺しようという馬子が、その策を決行する日に「今日、東国の調をたてまつる」と群卿に言って段取りをつけたと「紀」にあるが、それでは何のために駒をつかったのかわからなくなる。それに、そもそ…

2021年8月12日

二百五十二枚。今日から東漢直駒が崇峻暗殺を実行するところを書く。四、五枚くらい。あと一、二枚で河上娘や蜂子王、小手子とその周辺のことを書く。このころはさまざまな疫病が今のコロナのように猛威をふるっていて、その死をすり抜けるようにして人が生…

2021年8月10日 月夜茸のような謎。不用意に食べるとあたる。

二百五十枚。昨晩中メモ二十枚。朝早く起きてその整理。何度も目が覚めて枕元のメモを書いたので多少寝不足気味。普段夜更かしはまずしないので、たまに睡眠不足になるとえらくこたえる。鳥道のようなメモを足がかり手がかりにして何日か書ける。今月中に五…

2021年8月8日 夢の実存を構造主義的に検証する。

二百四十九枚。東漢直駒、河上娘、坂上氏など歴史的に不明なことが多い人物群を登場させるので、系図を整理して簡単な相関図をつくってから書き出す。このところ主人公の厩戸王がなかなかうまく絡んでこない。崇峻が暗殺されるときその子の蜂子王が厩戸王を…

2021年8月6日 昼と夜と心で三色。

二百四十八枚。暑い日が続くあいだ風呂の残り湯でする水遣りが大変になる。水遣りをしながらバケツを空にして戻ってくるときに目についた雑草を抜いていて、さほど広くないのでそれで十分間に合っている。ゆっくりと書くためには生活空間をそれなりにととの…

2021年8月4日 諸行無常は実存か皮相かと問う激しい夢。

二百四十七枚。五章残り十五枚。馬子が東漢直駒に崇峻殺害を命じるところを今日書く。崇峻五年の冬に倉梯宮へ猪を献じる者があって、その猪を見た崇峻が「いずれ朕が嫌いな者をこの猪の首を切るように斬ってやろう」と言ったのを伝え聞いて、馬子が崇峻殺害…

2021年8月2日 虫の未来。

二百四十六枚。三韓、大和王朝の状況を書き終え、今日から崇峻暗殺の具体的叙述にかかる。十五枚。いつも調法につかっている古い類語辞典の背紙と背芯が剥離し綴り糸が切れてきたりして頁がばらけてきたので、欄間を彫る職人が板の星打ちにつかう薄紙を貼っ…

2021年7月31日 虫は死んでも亡霊にならない。

二百四十五枚。高句麗が百済を介して新羅を掣肘する兵力を派遣するよう要請してきたときの朝鮮半島の状況と三韓の思惑、それを踏まえての崇峻と馬子の駆け引きを書く。このあとにようやく崇峻暗殺の実行を書いて五章を終える。「紀」には三韓の意図と派遣軍…

2021年7月29日 歩める夏の道忘れがたし

二百四十三枚。昨日までに五章の三分の二を書き終えていたが、最後の一枚半あたりにためらいがあって、そこの一枚を昨日書きあらため、今日残り半枚を書いたあと、章の残り三分の一にかかる。八月いっぱいかけて五章の残り十八枚を書き終えるつもり。じっく…

2021年7月27日 入道のおもいの丈の雨霰

二百四十二枚。あと二枚半で五章の三分の二書き終え。崇峻暗殺を目論む馬子が額田部太后に即位を問うところ。崇峻暗殺そのものは周辺の複雑な事態と併せて残り三分の一で書く。推古即位の前後にたぶん押坂彦人大兄と竹田王の死があるが、文献に記録がないの…

2021年7月25日 こんなに脆い肉体の中に銀河を見る精神。

二百四十枚。最近、金箔を貼ったような金目の黒猫が寝ている部屋の窓の外へくるようになった。百日紅の鉢の陰に潜んでやってくる雀を狙っているらしい。首に鈴をつけている。おかげで毎朝虫をとりにやってきてうるさく騒いでいた雀がこなくなった。寝ている…

2021年7月23日 夏の夜に吹く風は実存に似る。

二百三十九枚。推古朝ができる前二年をあと四枚半で書く。崇峻、額田部太后、厩戸王、馬子、大伴噛のそれぞれの状況と思惑を三点測量の要領でにじるように書いているのであとで推敲に手こずりそうな気がする。歴史の実在はそのそれぞれの実存でなければなら…