古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年6月30日 積乱雲かさなりて静か

新規頭からの推敲三十枚で、太子の父で池辺王とも呼ばれた豊日王が斎王になる王女に手をつけて孕ませてしまうところが本筋とはあまり関係のない綾のようなところなのでおもい切って削る。前後文章をととのえて三枚ほど減る。小説に綾が必要かということだが…

2023年6月26日 何方の仏ならんか紋黄蝶

推敲六百九十枚。今日、残り三十枚の推敲をして七百二十枚了。六百五十枚くらいになっているのを明日からもう一回頭から推敲。一日五時間くらい推敲しているので根がつかれる。あと一月かけて五十枚削る。無駄かどうかは何とも言えないが、基本、なくなって…

2023年6月26日 自分の背中を見る。

推敲六百二十枚。太子と膳部妃が毒殺される、その謀殺の手口が込み入っているので大胆に削れない。四苦八苦して三十枚あたり一枚半削る。赤鉛筆を切り出しナイフのようにつかって推敲しているのに、そんなときはふとそれが赤鉛筆だと気づく。推敲には書き方…

2023年6月24日 推敲の奥にある文学的表現の力の本質。

推敲五百六十枚。今日を入れてあと五日で七百二十枚の推敲を終える。たぶん六百五十枚くらいになっているはずで、すぐもう一回頭からやる。うまくいって六百枚切るや切らずやの微妙なところ。おもうようにいかなければ六百二十枚前後、そんなところか。一昨…

2023年6月22日 憂鬱の熱は風を呼ぶ。

五百枚推敲。実を採ったあとしばらく間をおいてから先週剪定した枇杷の木にムクドリかヒヨドリが巣かけしているのを家内が見つけた。鳥が巣をかけるようになったら木も一人前だとおもって、そのままにしておくことにして、今は推敲に専念する。午前中から始…

2023年6月20日 もし推敲に愛がなければテロに等しい。

四百四十枚推敲。およそ八枚あった十七条憲法を何とか一枚にまとめる。推敲がすすむにつれて原稿が他人行儀になる。それでも残ったものがオリジナリティでありアイデンティティなのだろう。とにかくエネルギーを要する作業で疲れる。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓…

2023年6月18日 文弱の啖呵売。

三百八十枚推敲。この貧血を起こしそうな乱暴な推敲が何か思いがけない切れ味のような味を生むか。やってしまわないとわからない。これも運命だと思ってやり切るしかない。一日三十枚というノルマはみずから課したもので、たぶんぎりぎりのところ。小説を書…

2023年6月16日 雪降るや極めつけたるその雪の色

三百三十枚推敲。一日三十枚の推敲ペースはかなりきつい。今朝、心景に雪が降って、その雪の色が美しかったので詠む。ほとんど生のままなのであとで手を入れるかも知れないが、たぶんこのまま。句は善し悪しよりも味を第一とする。斬り合いの最中に降り出し…

2023年6月24日 無銘太刀的推敲。

推敲二百七十枚。目見当で二十枚ほど減る。このあたりは一日半枚のペースで書いていたので、四十日ほどかかって書いたぶんがどこか奈落のようなところへ消し飛んでいった。そうして消えた文章は頭の中の記憶としての文章からも消え失せる。ちょっと感傷的に…

2023年6月12日 てをにはが雲のごとく流れゆく

二百十枚推敲。一日四時間ほど文字ばかりの林にいる。夕方になって終えるとすっかり股関節がひらいてしまっていてすぐに立てない。痛みをこらえながら立って、原稿を片づけてちょっと外へ出て一息入れる。世の中のことやあと十年か二十年くらいになった余生…

2023年6月10日 一灯無外。

五日間で百五十枚推敲。気分としては快刀乱麻の推敲をしたつもりだが、五枚半減っただけで、ペースで単純計算すると全体で三十二枚ということになり、もう一回推敲しても五十枚くらいにしかならず、目標の百二十枚に遠くおよばない。たまたま昨晩トイレで「…

2023年6月8日 よき聞き手と見えたりカタツムリ

枚数を減らす推敲は一種斬り合いのような醍醐味がある。そうおもわなければやってられない。毎日一枚半削る。うっかりすると手を切ってしまいそうで、毎日々々大熱戦といったところ。午前中次作のノートづくりをして、午後一時から四時過ぎまでかけてやる。…

2023年6月6日 琵琶法師一節唸って立ちかねつ

定期検診。昨日からまた推敲を始める。これまで十枚ほど減らして、あと五十枚ほど減らしたい。長編には長編の理屈があって枚数の制限ということに納得していないのだが、べつの価値観を持つ人たちにその理屈を言ってみても仕方がないし、そういう時代で、時…

2023年6月4日 このメビウスの輪の不条理は私にはほどけない。

線状降水帯の通過で降った大雨が上がってみると、枇杷がたわわに色づいていて、昨日はいつもの三倍ほど採れた。採れた半分ほどを家内の実家へ持たせる。今日は図書館へいくつもりだったが、昨晩寝る前に体温を測ると七度五分あり、朝測ると七度を切っていた…

2023年6月2日 真っ赤なつなぎのコスチュームと耳の尖った青紫のフードを被ったフィギアを棄てる夢。

年齢のノート書き込み。だんだん年齢不詳の人物が多くなる。このところ毎朝採る枇杷を朝午食べている。枇杷を食べると便の色が濃くなる。便を見ると人間の営みのありようを見るようで、人生というものの端的な表象として感じ入ってしまう。ウンコのような人…