古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年2月28日 山崎方代がよきかこの晦日

追加五枚。書き足しでもたもたしているうちに今日はもう二月の晦日。あと何枚書き足せばいいのか見当もつかないので新しく短い章を立てることにする。焦らない。自分の息が意識を追い越してゆくのがわかるほどゆっくりと書く。雨の日の水鳥の心地。 酒盛正の…

2023年2月26日 目の前の付け焼き刃。

追加三枚。奇門遁甲のことが今一つよくわからないのでやや筆が鈍る。持っている資料と首っ引きになっているが、そうやって調べた専門的なことは結局書かず、遁甲の占者が一般人にわかるように卜したところを語るような言葉でしか書けない。遁甲が小説の主題…

2023年2月24日 賢者は合理性を愛し、不可解を熱愛する。

追加一枚。馬子の政治に観勒の遁甲術が反映していることは間違いなく、観勒が百済の国益に与するよう卜していたと思われる馬子の政治判断として推古三十一年の新羅出兵が考えられる。このときの出兵判断の混乱は当時の当事者たちも首をかしげている。馬子の…

2023年2月22日 如月の布団の重さや冬に飽く

予定枚数六百枚了。書き足しに入る。五枚くらいの書き足しをする予定だったが、最後の最後になってどうしても馬子が企画した飛鳥の都と馬子の墓のことと馬子の妄執について書きたくなった。追加を十枚以内におさめられないと今の最終章の区切りを工夫して新…

2023年2月20日 古へにありけむ人の求めつつ衣にすりけむ真野の榛原 (万葉 1166 )

残二枚。筆名の古田は歴史に材を求める、十駕は駑馬十駕の意だが、駑馬十駕と言っても七十をすぎるとあとがなくなって、そうも言っていられなくなってきた。とにかく頑張って少しでもながく生きながらえて書き続けようというのが今の心境で、その心境にそぐ…

2023年2月18日 ここ何日かの晴天で救われている。

残四枚。推古三十二年夏まで書いたこの時点で、あと馬子が推古の産土の地の賜与を求めて拒否されること、馬子の死、推古崩御の推古三十六年までのあと四年を書くには四枚ではやはりちょっと足りないが、何枚足りないか、たぶん数枚だとおもうが、まだ見積も…

2023年2月16日 後ろの正面。

残六枚。前日ぶんだったメモが今日のぶんに三枚持ち越しになっていて、昨夜もメモ五枚とる。細かく込み入ったところをいったん全部書き切ってから文章としてできるだけわかりやすくするために手を入れるというちょっとまだるっこしい書き方になってしまうの…

2023年2月14日 この道や躓くほどの歩き甲斐

残七枚。人生の何という険しさよ。嬉し。楽し。常なく変遷する世の何という穏やけき静けさ。転がる日々。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓ ↓ (表紙画像をクリック) books.rakuten.co.jp 曹洞宗の禅林で破門同然となった良寛は、越後へ帰郷して世俗の中で禅の修行を全…

2023年2月12日 雪つもりとけて辛いやら嬉しやら

残九枚。残り十枚を切って、あとは一本道で書き終えられると思っていたら、昨日書いたところで迷いが出る。一昨日書いたところもふくめて書きあらためるため、昨晩はトイレへ本を持ち込まずにメモ紙と鉛筆を持ち込んで頭の中を整理、今日はそのメモを見なが…

2023年2月10日 鼻の先にぶらさがる一週間の無為。

残十枚。推敲が書くほうに追いつく。最後まで書き終えてちょっと間をおいてからまた推敲。半年ほど推敲、推敲の日々。その間に次作の資料の収集をしながら読み込み、整理しながら創作ノートの作成。千五、六百枚ほどになる予定の次作の創作ノートはW100S大学…

2023年2月8日 あきらけし月日に生きる身こそなれ

残十二枚。太子の没後、みずからの絶対政権の完成をはかる馬子の前に、かって煬帝の親書を掠盗させた鞍作福利が恵日と名を変えて現れる。馬子は新羅征討軍にともなって帰朝した吉士雄成に四天王寺の悲田院に入った福利の謀殺を命じる。馬子の手許にあった煬…

2023年2月6日 名物にあらなくも今宵の月は

残十四枚。昔から欲しかった「大漢和辞典」の揃い物がずいぶん安くなっていたが、残りの人生であと何回使うかと考えると、それでなくても置いておく棚もないので買うのを止めた。七十歳をすぎて、あと十年、二十年と数えるようになってからこういうことが多…

2023年2月4日 地獄に鬼がいるのではなく、鬼のいるところが地獄。

残十六枚。結末におこなう小説の収斂は何が何でも実存的蓋然を持つものでなければならない。実存性のない収斂などは紙芝居の最後の一枚のようなもので、それまで何のためにながながと書いてきたのかわからなくなる。他人の書くことに嘴を挟んでいるのではな…

2023年2月2日 夕陽射す青雲の志。

残十八枚。推古在位三十一年晩秋、飛鳥川が途入る山並みの爛れるような紅葉を見ながら、馬子がふと前年に薨去した太子との十五年近くにもおよぶながかった確執の変遷の顛末を回顧する。今日その回顧の出鼻まで書いて最終章の三分の二書き終え。このあと最後…