古田十駕(酒盛正)の文学日記

古田十駕の文学日記

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年5月31日 地平線のない世界をつらぬく道を歩く。

登場人物の年齢の書き込み続く。日本の最近の小説はあまり読む気がしないので、ゾラの「ジェルミナール」読み出す。今読みかけの本は次作の資料を除けばすべて翻訳物。もうながいあいだずっとそうだ。「ジェルミナール」は翻訳文が日本語として甘いので、ト…

2023年5月29日 雨の日の猫の如しわが頭

今日は北畠親房と上杉重能と上杉憲顕の年齢のノートへの書き込み。昨夜、夜半、雀の鳴き声を聴く。朝から雨で、静か。もうすぐ梅雨入りか。枇杷の初物を隣家へ裾分けする。隣家は大家の弟の家で、いつも大根やノラボウや玉葱、ジャガイモなど畑のものをもら…

2023年5月27日 昼の月見上げながら枇杷を採る

ノートへの登場人物の年齢の書き込みが続く。今日は義貞と直冬をやる。年齢の書き込みは六月の終わりくらいまで続く。鍋に入れる具の下拵えをやっているような段階なので、時間的な切迫感があまりない。ちょっと疲れるとすぐ立って、いつもより早く色づき始…

2023年5月25日 敵討ちの止めに喉を三度刺し貫くという作法。

ノートへの年齢の書き入れが続く。天皇、親王は終えて公家、武家にかかるのだが、公家は家伝か日記があれば何とかなるが、南北朝くらいまでの武家にはそういう個人的記録を残すという習慣があまりなかったようで、氏族の棟梁くらいでも過去帳で見るくらいし…

2023年5月23日 クレーン延び鳥居となる五月雨

一日二、三人ずつ、ノートへの登場人物の年齢の書き込みが続く。光厳天皇が後伏見天皇の第三皇子ではなく第一皇子、光明天皇がやはり後伏見天皇の第二皇子ではなく第九皇子という戦前の資料があって、それがこれまでわりと信用してつかってきたもので無下に…

2023年5月21日 意志によって生きないチャットGPTは苦悩しない。

今日もノートに登場人物の年齢の書き込み。年齢がはっきりしない人物は主要登場人物との関係性とのおよその年齢差を想定しておく。濃密な人間関係の中で生きた人物の年齢ならこれでほぼ仮定できる。伝承や文書記録にいくつもの年齢があって、それを参考にす…

2023年5月19日 わが実存の空に日も月も

朝から曇っていて午後から降り出し、夕方には本降りになるという。今日は家内がいないので、G7の首脳らが平和公園を訪れるところを中継しているテレビを一人で見ながら資料をひろげて創作ノートづくりをしている。主要登場人物たちの年齢を年毎に書き入れて…

2023年5月17日 浮き世てふ放生なれば是非もなし

創作ノートの工夫がある程度つく。多数の意思が錯綜し、離れた場所でのいくつもの状況が同時進行する書き方は前作で実験的に目途がついたのたが、飽くまでも実験モデルだったので、その創作ノートの記載項目の数が知れていて、錯綜する意思の書き分け方だけ…

2023年5月15日 滑落するときに見える空。

朝から雨。見通しがあるようなないような曖昧さ、この日常の中で小説を書くという冒険でもあり遊興でもあり修養でもあるような概念規定のむずかしい、しかしみずからの人生の態度を律するに到っている行為を持続する意思の奇妙な矜持。厳密な概念規定をしよ…

2023年5月13日 小説を書くという病。

創作ノートの書き込みの工夫が続く。技術というほどのことではないが、問題点があれば技術的工夫を重ねる。技術以上の発明は技術を重ねたうえでしか体得できない。その発明も問題点の解決のためのものであってみれば便宜的なもので、さらに昇華すべき余地の…

2023年5月11日 この国でリルケのように生きたし

次作の創作ノートに書き込むことが多すぎて、ちょっと工夫が要るようになった。引き写し項目がいちばん多い「南北朝編年史」を本のままベースにして、その他の資料はノートへ落とし込み、「南北朝編年史」とノートを併用していくことにする。この「南北朝編…

2023年5月9日 我という命を担いで生きている

次作の創作ノート作りを始める。大学ノート八頁ごとを一年で区切り、その年の西暦、和暦、和暦の元旦の西暦日を記入していく。見開き一頁ごとにみ月をふり、月の大、小、元号、改元日、閏年、閏月をしるしていき、書き出してからいちいち調べなくてもよいよ…

2023年5月7日 十駕より一灯がよし歳老れば

六百五十六枚了。このあと二回ほど推敲。六百枚書くのに二年七ヶ月かかってしまった。年々、書くのが遅くなる。昨日、次作の創作ノート作りを始める。二百頁の大学ノート二冊に頁数を書き入れ、今日は罫線をひき、そのあと見開き一頁ごとに西暦年と和暦をふ…

2023年5月5日 実存の艶なる皮相。

追加五十四枚。庶子ながら馬子の長子で法興寺の寺司をつとめる善徳が蘇我宗家を相続して大臣になっている蝦夷を訪ねて山背大兄王と太子家への酌量を願うところまで書き終える。このあと善徳が蝦夷のゆるしをえて墓所ができるまで馬子の殯屋になっている嶋の…

2023年5月3日 ときは春 本を漁りす楽しさよ

追加五十二枚。境部摩理勢親子の滅亡を書き終え、一行空行をおいていよいよ最後の数枚にかかる。今日は本作の資料で図書館で借りていた本を一部を除いて返しにいく。明日は次作の資料の本を買い出しにいく。五日か六日に書き終える。 酒盛正の電子書籍 ↓ ↓ ↓…

2023年5月1日 あな嬉しいくさなき世に文す身は

追加五十枚。今日は泊瀬仲王の急死に震え上がった山背大兄王が仲王の妹で大兄王の妃となっている舂米王女になにごとかを告げるところを、今日書くつもりだったところの前の挿入として書く。それが最後のところの登場人物につながる。ゴールデンウィーク中に…